PPAP対策はなぜ急務?今すぐ見直すべきリスクと業務効率化のポイント

はじめに:PPAPがもたらす「知られざるリスク」と「見過ごされた非効率」
多くの企業で「パスワード付きZIPファイルを送付し、後追いでパスワードを別メールで送る」という手法、通称PPAP(Password付きZipファイルを送る、暗号化、プロトコル)は、長らくセキュリティ対策の常識とされてきました。
しかし、この慣習はもはや時代遅れどころか、重大なセキュリティリスクと看過できないほどの非効率性の温床となっています。本記事では、PPAPがなぜ危険なのか、なぜ非効率なのかを徹底的に解説し、企業が今すぐ取り組むべきPPAP対策について、具体的なステップとともにご紹介します。
目次
1.そもそも「PPAP」とは?なぜ危険だと言われるのか
PPAPは、ファイルとパスワードを別々に送ることで、もしどちらかのメールが盗聴されても、両方が揃わない限り内容が漏洩しないという前提に立っていました。しかし、この前提は現代のサイバーセキュリティ環境においては全く通用しません。
政府もPPAPの危険性を認識し、2020年には内閣府や内閣官房でのPPAP利用を廃止しました。これは、PPAPがもはや時代に合わない、非推奨の慣行であることを示す、社会的な大きな動きです。
2.今すぐ見直すべき!PPAPが抱える3つの重大セキュリティリスク
PPAPが抱えるリスクは多岐に渡りますが、特に見過ごせない3つのリスクを解説します。
①通信経路の盗聴リスク
PPAPは、ファイルとパスワードを同じメールサーバーを経由して送るため、もし通信経路が盗聴された場合、両方のメールが同時に傍受されてしまう可能性が高いです。特に、中間者攻撃(Man-in-the-middle attack)などによって、ファイルとパスワードの両方が盗聴者に渡ってしまえば、情報は容易に漏洩してしまいます。パスワードを別メールで送るという手間は、セキュリティ上の意味をほとんどなさないのです。
②ウイルスチェックのすり抜け
多くの企業が導入しているメールゲートウェイのウイルスチェックは、パスワード付きのZIPファイルの中身を検査できません。パスワードによって暗号化されているため、セキュリティツールは中身を「ブラックボックス」として扱ってしまうのです。この特性を悪用し、マルウェアの感染経路としてPPAPが悪用される事例が急増しています。特に、2019年から2020年にかけて猛威を振るったマルウェア「Emotet」は、PPAPの脆弱性を突き、多くの企業に甚大な被害をもたらしました。
③マルウェア「Emotet」感染経路としての悪用
Emotetは、パスワード付きのZIPファイルで添付されたマクロ付きWordファイルなどを感染経路として利用しました。受信者は、取引先を装ったメールの指示に従ってZIPファイルを解凍し、パスワードを入力して添付ファイルを開くことで、Emotetに感染してしまうのです。PPAPは、セキュリティ対策として導入されていたはずが、皮肉にもマルウェアの侵入経路として悪用されるという深刻な事態を招きました。
3.PPAPで失われる時間とコスト!非効率な業務フローを徹底解剖
PPAPは、セキュリティリスクだけでなく、日々の業務における非効率性も大きな問題です。PPAPがどれほどの時間とコストを無駄にしているのか、送信側と受信側の視点から見ていきましょう。
送信側:手動作業の煩雑さと心理的負担
・ZIPファイルの作成とパスワード設定
ファイルをZIP圧縮し、パスワードを設定する手動作業は、送付するファイル数や頻度によっては大きな負担となります。
・パスワードメールの送信
ファイルを送った後、改めてパスワードを記載したメールを送信する二度手間が発生します。
・宛先間違いのリスク
パスワードとファイルを別々に送ることで、誤送信のリスクが二重に発生します。もしパスワード付きZIPを誤送信した場合、パスワードを記載したメールも誤送信してしまえば、情報漏洩に直結します。
受信側:手間とストレスを生む非生産的な作業
・パスワードメールの受信と確認
受信者は、ファイルが送られてきた後、パスワードが記載されたメールが届くのを待つ必要があります。タイムラグによって、業務が滞ることも少なくありません。
・ZIPファイルの解凍
パスワードを入力してファイルを解凍する作業は、受信者にとってストレスとなり、生産性を低下させます。
・多重パスワード、文字化けなどのトラブル
複数の取引先からPPAPでファイルが送られてきた場合、どのパスワードがどのファイルのものか分からなくなったり、文字化けでパスワードが認識されなかったりするトラブルも頻発します。
4.脱PPAPを成功させるための4つの具体的な対策
PPAPのリスクと非効率性を理解したら、次は具体的な対策に移る必要があります。以下の4つの方法が、脱PPAPの有力な選択肢となります。
①クラウドストレージの活用
Googleドライブ、OneDrive、Boxといったクラウドストレージは、ファイル共有の主流となっています。リンク形式でファイルを共有するため、パスワード付きZIPのように暗号化の心配もありません。アクセス権限を詳細に設定できるため、セキュリティも高まります。
②ファイル転送サービスの導入
クラウドストレージと似ていますが、より手軽なファイル転送に特化したサービスも多数存在します。URLとパスワードを自動で通知する機能や、ダウンロード状況を管理できる機能など、PPAPの煩雑さを解消する機能が充実しています。
③メールセキュリティサービスの導入
添付ファイルを自動的に分離し、安全なストレージに保管するタイプのメールセキュリティサービスも有効です。受信者には安全なURLが送られ、そこからファイルをダウンロードする仕組みのため、PPAPのリスクを根本から解消できます。
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5.今すぐできる!脱PPAPに向けた第一歩
PPAP対策は、一朝一夕で完了するものではありません。以下ステップで、着実に脱PPAPを進めていきましょう。
①社内ポリシーの見直し
まずはPPAPを禁止する社内ルールを明確に定めましょう。代替手段を明記することで、従業員が迷うことなく新しい運用方法に移行できます。
②従業員への周知と教育
PPAPがなぜ危険で非効率なのかを説明し、新しい運用方法を周知・教育することが不可欠です。社内研修やマニュアル作成を通じて、意識改革を促しましょう。
③スモールスタートで導入
まずは一部署や特定の取引先とのやり取りから、PPAPの代替策を導入してみましょう。効果を検証し、課題を洗い出すことで、全社展開をスムーズに進められます。
6.PPAP対策にはEASY FILE EXPRESSがおすすめ
PPAP対策には、ファイル転送サービス「EASY FILE EXPRESS」がおすすめです。シンプルな操作画面で誰にとっても使いやすい操作性となっている為、教育や研修の手間がかかりません。また、初期費用無し月額3,000円(税抜)から利用できる導入しやすいプランもご用意している為、一部の部署からスタート等も可能です。
セキュリティについても、通信経路暗号化や定期的な脆弱性診断を実施、誤送信対策として送信後キャンセル機能を備えている点など安全性の高いサービスを実現しています。
まとめ:未来のビジネスへ向けて
PPAPは、セキュリティと利便性を両立させるための苦肉の策でしたが、もはやその役割を終えました。PPAPを使い続けることは、企業に重大なリスクと非効率をもたらし、ビジネスの成長を阻害しかねません。
PPAPを廃止し、より安全で効率的なファイル共有方法へと移行することは、これからのビジネスに不可欠な変革です。今こそ、PPAPを過去の遺物とし、未来のビジネスへ向けた第一歩を踏み出しましょう。
EASY FILE EXPRESS マーケティングチーム
ファイル転送における最新情報や課題解決を発信するコラムです。皆様のお困りごとの解決に役立つ知識をお届けします。